ベンガル猫について
ウィラードセンターウォール博士(Dr.Willard Centerwall)
ロマ・リンダ大学の人類学のインストラクターに加えて、医学部の小児科教授と健康管理学校の母子保健学教授を務めていた方です。
猫愛好家でもあり、猫の遺伝学を趣味として研究をしていました。
そんなウォール博士は、アジアのヒョウ猫に魅了され、猫の白血病ウイルス(FLV)に耐性がある事を突き止め、その特性が家猫の子孫に受け継がれるかどうかを研究する事に興味を持った数人の研究者の中の1人でした。この時はまだ、白血病に関する研究が新しい猫の品種を創り出す事になるとは予想もせず、白血病ワクチンの研究のため、猫と人間の比較遺伝子マッピングの末、ロマ・リンダ大学医療センターの遺伝学、先天性欠損症、染色体を調べたチームによって偶然産まれた品種なのです。
同じ頃、Jean Sugden Milと言うブリーダーは、ウォール博士の動機とは全く異なり、より神秘的な猫を創り出す事でした。
ウォール博士は健康上の理由から猫の遺伝学を操作することに興味があったのですが、ミル氏は毛皮の取引を支持した人々が、毛皮を購入する事がより困難になることを予想し、野生の猫の様な外観を持つハイブリッドな品種を創る事をこの時決意するのでした。
実際ミル氏は、1980年にウォール博士からアジアのヒョウ猫の標本であった9匹を譲り受けます。
ミル氏とウォール博士の様に、野生の猫と飼い猫との交配に関心を示したのは、この2人だけでは無く、1970年動物園の飼育係のビルエンゲラー氏は、オスのアジアのヒョウ猫シャーと、2匹のメスの飼い猫を交配し、2匹の仔猫を産ませています。
その2匹に「ベンガルズ」と名付けたのでした。エンゲラー氏はその様なハイブリッドを創り出す目的は、次の通りであると述べています。
「美しく、ペットの飼い猫にふさわしい性格の小さなエキゾチックな猫を創る事」だと…
ミル氏が野生の猫と飼い猫を交配させる動機に加え、エンゲラー氏は益々絶滅の危機に瀕している、エキゾチックな猫種を保護しようとし、そのワイルドな容姿に魅了された人達は、エジプシャン・マウ、アビシニアン、ブリティッシュ、ボンベイなど、様々な純血種の猫との交配を積み重ね、今のベンガル猫が誕生したのです。
エンゲラー氏は、「Bengal」という名前の猫を創ったとされていますが、名前の正確な由来は実は不明で、アジアのヒョウ猫の学名である、「Felis bengalensis」からインスピレーションを得ていると示唆する人もいれば、自分の名前ある、B.Englerに由来する可能性があると主張する人もいます。
この様に、一部の野生の猫は白血病の抗体を持っているという事から、その血を受け継ぐベンガル猫は猫の白血病に掛かりにくい結果へと繋がりました。
今では、多くの人にベンガル猫が知られる様になり、またTICAによって認められ、私達がベンガル猫を、国内品種として迎えられる様になったのは、研究に携わった、ウォール博士とジーンS.ミル氏をはじめとする、全ての方々の、熱心な研究と、献身的な努力の賜物なのです。
野生の血を強く引いているため、病気は比較的少ない猫種だと言われています。しかしその中でもかかりやすい主な病気として、
- 進行性網膜萎縮
- PK欠乏症(赤血球ピルビン酸キナーゼ欠乏症・遺伝子検査で分かります)
などがあります。
ベンガル猫と言えば、皆さん一番に頭に思い浮かぶのは、ヒョウを思わせる、あのルックスだと思います。
しかしヒョウをよく見ると、円の様に見えるあの斑点同士は繋がっておらず、均等に間隔が開いていますよね!
少しベンガル猫とは違いますが、どことなく似ている所からヒョウのイメージを与えるのでしょう。